種類株式の具体的内容(条項サンプル)!
株式会社では、普通株式とは別に、種類株式(権利の内容が異なる株式)を発行することができます。
そして、種類株式として、以下の9つ権利について内容が異なる株式を設定することができます。
種類株式を設計する際には、これらの権利を組み合わせつつ、適切に設計し、資金調達に適した種類株式を設計したり、同族株主による会社に対するガバナンスや権利を設計したりすることになります。
例えば、特定の種類株主については、配当金など資金面では優先させつつも議決権などのガバナンス面では劣後させるなど、また、会社のガバナンスに参加する株主の中でも、ガバナンスの強い種類株主とガバナンスがそれほど強くない種類株主を作成したりすることもできます。
1.剰余金の配当(会社法108条1項1号)
2.残余財産の分配(会社法108条1項2号)
3.議決権制限種類株式(会社法108条1項3号)
4.譲渡制限種類株式(会社法108条1項4号)
5.取得請求権付種類株式(会社法108条1項5号)
6.取得条項付種類株式(会社法108条1項6号)
7.全部取得条項付種類株式(会社法108条1項7号)
8.拒否権付種類株式(会社法108条1項8号)
9.取締役・監査役の選任についての種類株式(会社法108条1項9号)
上記の123456については、下記の種類株式の条項のサンプルの記載が非常に参考になりますので、種類株式を設計する際には参考にしてみてください。
種類株式の具体的内容(種類株式の条項のサンプル1)(株式会社経営競争基盤登記簿謄本より)
この会社は、普通株式は発行せず、種類株式のみを発行しており、C種類株式が普通株式に最も近く、配当など経済的条件についてはもっとも劣後する代わりに、最終的に残った財産を総取りすることができる既得権益層向けの株式になっている。反面、A種類株式は一般的な株主であり、配当など経済的条件は最も優先されるものの、一定の金額に限定されている社債的な株式である。また、B種類株式は、A種類株式の30倍の経済的利益を得ることができる株式となっており、おそらく、A種類株式の一般的株主よりもアーリーステージで投資をしている投資家向けの株式と思われる。D種類株式は経済的利益が非常に限定的であり、かつ会社に対するガバナンスも限定的である。おそらく、会社が投資の失敗か何かで企業価値を棄損してしまったことがありその時の投資家の株式であり、ゼロ価値とすることは忍びないため多少の価値を残して残している株式ではないかとも思われる。
発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容 | A種類株式60万株 B種類株式2万株 C種類株式120万株 D種類株式200万株A種類株式 1.剰余金の配当 当会社は、剰余金の配当を行うときは、毎事業年度末日又は当会社が随時設定する基準日における最終の株主名簿に記載又は記録されたA種類株式を有する株主(以下「A種類株主」という。)及びA種類株式の登録株式質権者(以下「A種類登録株式質権者」という。)に対して、以下の内容の剰余金を配当するものとする。(1)A種類配当金 当会社は、C種類株式を有する株主(以下「C種類株主」という。)又はC種類株式の登録株式質権者(以下「C種類登録株式質権者」という。)に対する配当が完了した後、なお剰余金が存する場合には、かかる剰余金から、A種類株主又はA種類登録株式質権者に対し、B種類株式を有する株主(以下「B種類株主」という。)及びB種類株式の登録株式質権者(以下「B種類登録株式質権者」という。)ならびにD種類株式を有する株主(以下「D種類株主」という。)及びD種類株式の登録株式質権者(以下「D種類登録株式質権者」という。)に先立ち、A種類株式1株につき金3,500円に至るまで支払う。ただし、当会社は平成21年12月31日に終了する事業年度までA種類株式に対する配当は行わない。 (2)非累積条項 (3)非参加条項 2.残余財産分配 (1)A種残余財産分配 (2)参加条項 3.取得請求権 4.取得条項 5.議決権 6.種類株主総会 7.株式の併合、分割又は無償割当て等 B種類株式 (1)B種類配当金 (2)非累積条項 (3)非参加条項 2.残余財産分配 (1)B種残余財産分配 (2)参加条項 3.取得請求権 4.取得条項 5.議決権 6.種類株主総会 7.株式の併合、分割又は無償割当て等 C種類株式 2.残余財産分配 (1)C種残余財産分配 (2)参加条項 3.議決権 4.種類株主総会 D種類株式 2.残余財産分配 (1)D種残余財産分配 (2)非参加条項 3.議決権 |
株式の譲渡制限に関する規定 | 当会社の発行する株式は、すべて譲渡制限株式とし、株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を受けなければならない。 |
種類株式の具体的内容(種類株式の条項のサンプル2)
発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容 | 普通株式 30万8000株 A種類株式 5万株 B種類株式 5万株 (A種類株式の内容)1.剰余金の配当に関する定め (1)優先配当金 当会社は、剰余金の配当をするときは、A種類株式を有する株主(以下「A種類株主」という。)又はA種類株式の登録株式質権者(以下「A種類登録株式質権者」という。)に対し、普通株式を有する株主(以下「普通株主」という。又は普通株式の登録株式質権者(以下「普通登録株式質権者」という。)に先立ち、A種類株式1株につき年額金48円の配当金(以下「A種優先配当金」という。)を支払う。 (2)非累積条項 ある事業年度において、A種類株主又はA種類登録株式質権者に対して行う剰余金の配当の額がA種優先配当金の額に達しないときは、その不足額は翌事業年度以降に累積しない。 (3)参加条項 2.議決権に関する定め (2)種類株主総会の決議 3.株式分割等の後におけるA種優先配当金に関する定め 株式分割前の1株あたりの 既発行A種類 (2)株式併合の後におけるA種優先配当金 株式併合前の1株あたりの 既発行A種類 (3)株主割当ての後におけるA種優先配当金 調整前の A種類株主が (B種類株式の内容) (2)非累積条項 (3)参加条項 2.議決権に関する定め (2)種類株主総会の決議 3.株式分割等の後におけるB種優先配当金に関する定め 株式分割前の1株あたりの 既発行B種類 (2)株式併合の後におけるB種優先配当金 株式併合前の1株あたりの 既発行B種類 (3)株主割当ての後におけるB種優先配当金 調整前の B種類株主が (株式の分割、併合等) 2.株主割当てに関する定め |
株式の譲渡制限に関する規定 | 当会社の普通株式、A種類株式及びB種類株式は、取締役会の承認がなければ、譲渡することができない。 |