所得税の算出方法!
所得税の算出方法を理解しよう
所得税の算出方法は、一見すると非常に複雑で分かりにくいように思えます。ですが、しっかり順序を追いながら計算の手順を見ていけば、決して難解な手続きではないことが分かります。
そこで今回は、所得税を算出する手順の流れが理解しやすくなるように、8つのステップに分けて解説していきます。
ステップ① 「収入」と「所得」の違い
所得税の算出方法を理解するためには、最初に「収入と所得の違い」について知っておく必要があります。なぜなら所得税とは、「収入」ではなく「所得」に課税されるものだからです。
収入と所得の違いを一言で説明すると、「必要経費などを差し引く前の金額が収入」「必要経費などを差し引いた後の金額が所得」ということになります。
つまり、「所得=収入-必要経費など」という計算式が成り立ちます。この計算こそが、所得税を算出するための基本中の基本となるものです。
ステップ② 「所得」の計算式は、収入の種類ごとに異なる
もっとも、この「所得=収入-必要経費など」という計算式は、収入の種類によって中身が少し変わります。具体的には、収入の種類ごとに「必要経費など」の部分が変わります。
なお、収入の種類は全部で10個あります。この10種類のうち、自分の得た収入がどの種類に属するものなのか確定しなければ、「所得」を正しく計算することができません。
そこで、まずは収入の種類を確認して、「所得」を算出するための正しい計算式を明らかにするところから、所得税の計算がスタートします。
ステップ③ 「総合課税」と「分離課税」を区別する
また、収入の種類によって「総合課税」「分離課税」の違いも出てきます。
「総合課税」に分類される収入については、ひとまとめに一括して課税します。ステップ④・⑤の手順を経た後、総合課税の対象となる各種所得を合計した金額に税率をかけて、所得税額を算出する計算を行います。
これに対して「分離課税」に分類される収入については、それぞれ個別に課税します。すなわち、分離課税の対象となる各種所得に対して別々に税率をかけて、所得税額の計算を行うのです。
したがって、「分離課税」に該当する収入は、「総合課税」に該当するものから切り離しておく必要があります。そのためにも、収入の種類をしっかり確認しておかなければなりません。
ステップ④ 10種類の収入
それでは、ここで収入の10種類について、簡単に確認をしておきましょう。
(1) 利子(利子所得)
代表的なものは、「預貯金の利子」「公債・社債の利子」です。金融機関に対してお金を預けたり、国・地方自治体・企業に対してお金を貸したりした場合に発生する「利息」のことだと考えれば大丈夫です。
利子所得の計算
利子所得の計算式は、「収入=所得」です。差し引かれるものがない点に注意しましょう。
利子所得は総合課税
また、利子所得は「総合課税」に該当します。ステップ④・⑤の手順を経たのち、分離課税に分類される他の所得とひとまとめにして税率をかけることになります。
(2) 配当金(配当所得)
代表的なものは、「株式の配当」です。他にも「会社清算における剰余金の分配」「投資信託の分配金」といったものを挙げることができます。利子がお金を預けたり貸したりした場合の話だったのに対して、配当金はいわゆる「投資」に対するリターンのことです。
配当所得の計算
配当所得の計算式は、「収入-株式等を取得するための負債の利子」となります。「株式等を取得するための負債の利子」とは、平たく言うと「株式等を買うために借金をした場合に支払った利子」のことです。
配当所得は総合課税
配当所得は「総合課税」に分類されます。個別に分離せずに、ひとまとめに総合して所得税額を計算します。
(3) 不動産収入(不動産所得)
不動産を貸したことによる収入です。典型的な例としては、アパートの大家さんが家賃収入を得た場合を挙げることができます。家賃以外にも更新料など、不動産を貸したことによって得られたお金は広く不動産収入に含まれます。
不動産所得の計算
不動産所得の計算式は、「収入-必要経費」です。
必要経費の例としては、管理費・減価償却費・修繕費・固定資産税・水道光熱費などが挙げられます。他にも、不動産を取得する際の借入金の利子や、不動産にかけた保険料について、必要経費に含めることができます。
不動産所得は総合課税
なお、不動産所得は「総合課税」です。所得税率をかけて税額を計算する際には、総合課税に分類される他の所得とひとまとめにして税率をかけます。
(4) 事業収入(事業所得)
起業してビジネスを営んでいる場合に、その事業から得られた収入のことです。
事業所得の計算
事業所得の計算式は、「収入-必要経費」です。
事業所得においては、必要経費や収入の計算が特に重要となります。
たとえば、自宅を事務所にしているフリーランスの場合、水道光熱費や通信費をプライベートとしっかり分ける必要があります。プライベートで使った費用(家事費)を事業の必要経費として申告すると、脱税行為として追及を受けるおそれがあるからです。
また、収入の計算については、未入金の扱いに注意が必要です。仕事が完成して報酬を請求できる状態にあるのなら、まだ入金されていないとしても、収入に含めなければなりません。クライアントとの間でやりとりする各種書類は、収入を正しく計算するためにもきちんと管理しておく必要があります。
事業所得は総合課税
なお、事業所得は「総合課税」扱いとなります。総合課税に分類される他の所得とひとまとめにして、総合して所得税額を計算します。
(5) 給与収入(給与所得)
サラリーマンのように雇用されて、給与の支払いを受けた場合の収入です。「給料」「賃金」「ボーナス」といった名称を問わず、また「正社員」「アルバイト」といった雇用の形態も問わず、雇用の対価として支払われた金銭はすべてここに含まれます。
給与所得の計算
給与所得の計算式は、「収入-給与所得控除額」です。
給与所得の場合は、必要経費の控除が認められていません。その代わり、収入の金額に応じて定められた「給与所得控除額」を控除します。
この「給与所得控除額」の計算は、年収の金額に応じて定められた計算式に基づいて行われます。ということは、正確な「給与所得控除額」は、その年の年収が確定してからでないと分からないのです。
つまり、毎月の給料から天引きされる税金の金額は、実は「概算額」にすぎません(これを「源泉徴収」と呼びます)。正確な「給与所得控除額」よりも、多めの金額が天引きされています。
そのため、年収が確定して正確な「給与所得控除額」が判明した後に、払いすぎた分を返してもらう必要があります。そのための手続きが、毎年行われる「年末調整」なのです。
給与所得の確定申告の要否
なお、1つの事業所に雇用されているだけであれば、雇用主による年末調整をもって所得税の納税手続きが完了するため、自ら確定申告をする必要はありません。
これに対して、複数の事業所に雇用されている場合には、自ら確定申告を行う必要があります。
また、副業をしている場合や株の配当で利益が出た場合など、給与収入とは別の収入があった場合にも、自ら確定申告をしなければなりません。
給与所得は総合課税
給与所得は、「総合課税」として扱われます。個別に分離することなく、総合課税に該当する他の所得と一括して所得税額を計算します。
(6) 退職による収入(退職所得)
退職に伴い雇用主から支払われる一時金のことです。典型的な例として「退職金」を挙げることができますが、他には「解雇予告手当」も退職による収入に含まれます。
退職所得の計算
退職所得の計算式は、「(収入-退職所得控除額)×1/2」です。
給与所得の算定において必要経費の代わりに「給与所得控除額」を差し引くのと同様に、退職所得の算定では「退職所得控除額」が差し引かれます。この「退職所得控除額」を求める算定式は、勤続年数が20年を超えるか否かによって異なります。
退職所得は分離課税
なお退職所得は、「分離課税」として扱われます。そのため他の所得とは個別に切り離して、すぐにステップ⑥へ移り税額の計算を行います。
(7) 山林の伐採・譲渡による収入(山林所得)
自ら所有する山林を伐採したことによる収入や、山林を譲渡したことで手にした売却代金が該当します。
山林所得の計算
山林所得の計算式は、「収入-必要経費-特別控除額(最高50万円)」です。
山林所得は分離課税
税額の算出については「分離課税」として扱われるため、他の所得から切り離して個別に税率をかけることになります。
(8) 資産の譲渡による収入(譲渡所得)
不動産をはじめとする資産を売却したことによる収入です。
譲渡所得の計算
譲渡所得の金額を算出するには、「収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」という算定式が用いられます。ここでいう「取得費」とは、売却の対象となった資産を最初に入手した際に必要となった費用のことです。一方「譲渡費用」とは、資産を売却する際にかかった費用を意味します。
「分離課税される資産」と「総合課税される資産」
「分離課税」と「総合課税」のどちらに該当するかは、譲渡する資産の種類によって異なります。不動産や株式を売却した場合の譲渡所得は「分離課税」となりますが、ゴルフ会員権の売却による譲渡所得は「総合課税」となります。
株式については配当所得との区別に注意
株式に関しては、配当と売却益の区別が重要となります。株の配当は「配当所得」となるのに対して、株の売却益は「譲渡所得」として分類される点に注意が必要です。
(9) (1)~(8)のいずれにも当てはまらない「一時的な収入」(一時所得)
ここでいう「一時的」とは、「労務・役務・資産譲渡の対価にあたらない」という意味です。宝くじの当選金や競馬の払戻金が該当するほか、生命保険の満期金や解約返戻金も含まれます。
一時所得の計算
一時所得の算定式は、「収入-その収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)」です。「その収入を得るために支出した金額」とは、生命保険の場合なら払込保険料が該当します。
一時所得は2分の1したうえで総合課税
なお、一時所得は「総合課税」に該当しますが、他の所得と合算する前に、算出した「一時所得額」をさらに2分の1にすることが認められています。総合課税の対象となる各種所得の中でも、一時所得は特に優遇されていると言えるでしょう。
(10) (1)~(9)のいずれにも当てはまらない「雑収入」(雑所得)
雑収入に該当する代表的な例として、公的年金や副業による収入を挙げることができます。他には、各種原稿料・講演料や仮想通貨・FXによる収入も、雑収入に含まれます。
雑所得の計算
雑所得の算定式は、公的年金による雑収入については「収入-公的年金等控除額」、それ以外の雑収入については「収入-必要経費」となっています。
雑所得は総合課税
雑所得は、「総合課税」の対象となります。各種所得と合算してうえで、ひとまとめにして所得税額の計算が行われます。
ステップ⑤ 赤字が出たら「損益通算」をする
以上のように、所得には全部で10の種類があります。その中には「損益通算」という手続きが認められている所得があります。
損益通算は、節税テクニックとして非常に重要なものです。所得税を賢く納税するためにも、損益通算についてぜひ知っておきましょう。
「損益通算」とは
損益通算とは、「ある所得について発生した赤字額を、別の所得の黒字額から差し引くこと」を意味します。所得額から赤字額を控除することで、課税対象となる総所得金額を低く抑えることができるのです。その結果、最終的な所得税額を節税することが可能になります。
損益通算が認められる所得
損益通算が認められる所得は、「事業所得」「不動産所得」「譲渡所得」「山林所得」の4種類です。これらの所得について赤字が発生した場合は、損益通算の手続きを忘れないようにしましょう。一方、これらの所得が黒字の場合は、特に損益通算をする必要はありません。
それでは、主要な所得である「事業所得」「不動産所得」「譲渡所得」の損益通算について、具体的な手順を見ていきましょう。
損益通算の手順
まず、「事業所得」「不動産所得」の損益通算は、次のような順序で行います。
(1) 「事業所得」または「不動産所得」で赤字が発生した
(2) その赤字額を、「不動産所得」「事業所得」「配当所得」「給与所得」「雑所得」「利子所得」の黒字額と通算する
(3) まだ赤字額が残る場合は、「譲渡所得」「一時所得」の黒字額と通算する
(4) さらに赤字額が残る場合は、「山林所得」「退職所得」の黒字額と通算する
(5) それでも赤字額が残る場合は、翌年以降に繰り越す
一方で、「譲渡所得」の損益通算は、次のような順序で行います。
(1) 「譲渡所得」で赤字が発生した
(2) その赤字額を、「一時所得」の黒字額と通算する
(3) まだ赤字額が残る場合は、「不動産所得」「事業所得」「配当所得」「給与所得」「雑所得」「利子所得」の黒字額と通算する
(4) さらに赤字額が残る場合は、「山林所得」「退職所得」の黒字額と通算する
(5) それでも赤字額が残る場合は、翌年以降に繰り越す
「総所得金額」の算出
以上の手順で損益通算を行った後、「総合課税」の対象となる所得を合算します。そのようにして算出される金額のことを、「総所得金額」と呼びます。
ステップ⑥ 「所得控除」を差し引いて「課税総所得金額」を算出する
「総所得金額」が算出されたら、そこからさらに「所得控除」を差し引いて、課税対象となる「課税総所得金額」を算出します。ここで控除される額が大きいほど、最終的な所得税額が抑えられることになります。節税のためにも、ぜひ理解しておきましょう。
所得控除は、全部で14種類あります。その一つひとつについて、簡単に紹介していきます。
雑損控除
災害や盗難などにより、住宅や家財に損害を受けた場合に認められる控除です。たとえば、台風によって自宅が損壊してしまったような場合に適用されます。本人が受けた損害だけでなく、本人と生計を同じくする家族が受けた損害についても対象となります。
すべての損失額がそのまま控除されるわけではなく、損失額をもとに一定の方法で計算した金額が控除されることになります。
なお、雑損控除は年末調整の対象ではありません。災害等による損害を受けたサラリーマンが雑損控除の適用を受けるには、自ら確定申告を行う必要があります。
医療費控除
1年間で支払った医療費が10万円を超える場合、あるいは所得金額の5%を越える場合に認められる控除です。本人のための医療費だけでなく、本人と生計を同じくする家族のための医療費も含まれます。
控除される金額は、「医療費-10万円または所得金額の5%」です。ただし、最高で200万円という上限が定められています。
なお医療費控除を申告するには、医療費を支払う際に受け取った領収書を提出する必要があります。医療費の領収書は、こまめに保管するようにしておきましょう。
寄付金控除
国・地方自治体・社会福祉法人・NPO法人・政党などに対して寄付・献金を行った場合に認められる控除です。ふるさと納税を行った場合も対象となります。
控除される金額は、「寄付金の額-2,000円」と「総所得金額の40%-2,000円」のいずれか少ない方です。
社会保険料控除
健康保険・国民年金・厚生年金などの社会保険料について認められる控除です。
この場合に控除される金額は、支払った社会保険料の金額です。
小規模企業共済等掛金控除
「小規模企業共済」とは、小規模企業の役員や個人事業主を対象とする退職金積み立て制度のことです。そのための掛け金を支払った場合に認められる控除が、「小規模企業共済等掛金控除」です。
この場合に控除される金額は、支払った掛金の金額です。
生命保険料控除
生命保険料を支払った場合に認められる控除です。
この場合に控除される金額は、年間の払込保険料に応じて定められた算定式によって計算されます。ただし、最高12万円という上限が設けられています。
地震保険料控除
地震保険料を支払った場合に認められる控除です・
生命保険料控除と同様に、支払った保険料に応じて定められた算定式によって求められる金額が控除されます。ただし、最高5万円という上限が設けられています。
寡婦(夫)控除
低所得であったり、子どもを養ったりしているにもかかわらず、配偶者と死別あるいは離婚した場合に認められる控除です。寡婦(女性)と寡夫(弾性)で、異なる適用要件が定められています。
控除額は、一律に27万円です。もっとも、一定の条件を満たす「特定寡婦」については、35万円の控除が認められています。
勤労学生控除
所定の学校の勤労学生である場合に認められる控除です。控除される金額は、一律に27万円と定められています。
障害者控除
自分や家族が障害者に該当する場合に認められる控除です。
控除される金額は、27万円と定められています。なお、「特別障害者」に該当する場合は40万円、「同居特別障害者」に該当する場合は75万円の控除が認められます。
配偶者控除
合計所得金額が38万円以下(給与収入が103万円以下)の配偶者を扶養している場合に認められる控除です。
控除額は、本人の合計所得金額に応じて定められています。最高で38万円の控除が認められます。
配偶者特別控除
合計所得金額が38万円超123万円以下(給与収入が103万円超201万5999円以下)の配偶者を扶養している場合に認められる控除です。
控除額は、配偶者控除と同様に、本人の合計所得金額に応じて定められています。最高で38万円の控除が認められます。
扶養控除
子ども(16歳未満を除く)や親など(70歳以上)を扶養している場合に認められる控除です。ただし、扶養している子どもあるいは親について、合計所得金額が38万円以下でなければならないという条件が定められています。
控除額は、扶養親族の年齢に応じて定められています。控除額は原則として38万円ですが、70歳以上の人や19歳以上23歳未満の子供を扶養している場合には、より多額の控除が認められています。
基礎控除
全ての納税者について適用される控除です。一律に38万円が控除されます。
ステップ⑦「税率」をかけて「所得税額」を算出する
「総所得金額(総合課税の対象となる所得金額を合算したもの)」から「所得控除」を差し引くと、「課税総所得金額」が算出されます。そこへ所定の「税率」をかけることで、総合課税による所得税額が算出されます。
なお、ここで用いられる税率は、課税総所得金額に応じて定められています。課税総所得金額が大きいほど税率が高くなる、累進課税方式が採用されています。
一方で、分離課税の対象となる所得については、それぞれ個別に所得税額を算出します。その際に用いられる税率についても、それぞれの所得ごとに異なる定めが置かれています。
「総合課税による所得税額」と「分離課税による所得税額」をそれぞれ算出できたら、両者を合算します。これにより、いよいよ「所得税額」が算出されます。
ステップ⑧ 「税額控除」を差し引いて「納税額」を算出する
もっとも、ステップ⑥で算出した「所得税額」は、あくまでも仮のものにすぎません。
そこからさらに「税額控除」を差し引き、「復興特別所得税額」を加算します。そうすることで、ようやく最終的な「納税額」が判明するのです。
それでは最後に、税額控除と復興特別所得税の計算手順について、確認していきましょう。特に税額控除は、所得税額から直接差し引くことができるため、節税効果が非常に大きくなります。
税額控除(1)
仮の所得税額から、まず「配当控除」「住宅ローン控除」などの税額控除を差し引きます。この段階で登場する税額控除のうち、主要なものを見ていきましょう。
配当控除
国内の会社から配当を受けた場合に認められる控除です。課税総所得金額に応じて、配当所得の10%または5%に当たる金額を、仮の所得税額から直接差し引くことができます。
上場株式の配当所得は通常、確定申告をする必要がありません。ただし、配当控除による節税効果を考慮に入れると、配当所得を申告したほうが全体として所得税が安くなる場合もあります。
住宅ローン控除
家を新築・購入・増築・改築した場合に認められる控除です。新築等から半年以内に実際に住み始めたことと、住宅ローンがまだ残っていることが適用要件となっています。
一般的な住宅で最高40万円が、認定住宅であれば最高50万円が、仮の所得税額から直接差し引かれます。節税効果が非常に高い制度となっています。
特定増改築等住宅借入金等特別控除
バリアフリー改修工事や省エネ改修工事をして、なおかつローンが残っている場合に認められる控除です。最高で12万5,000円が、仮の所得税額から直接差し引かれます。こちらも節税効果の非常に高い制度だと言えるでしょう。
政党等寄付金特別控除
政党への政治献金や、認定NPO法人への寄付を行った場合に認められる控除です。
ただでさえステップ⑤の所得控除で紹介した「寄付金控除」が認められるのに加えて、さらに税額控除としてダイレクトな控除が認められることになります。寄付には非常に高い節税効果が認められていることが分かります。
復興特別所得税額の算定
以上のような税額控除を、仮の所得税額から直接に差し引きます。その結果として算出される金額を、「基準所得税額」と呼びます。
この基準所得税額は、復興特別所得税額を算出するベースとなります。すなわち、基準所得税額に2.1%をかけることで、復興特別所得税額が算出されるのです。
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興財源を確保するために徴収されるものです。仮の所得税額から税額控除を差し引いて算出された基準所得税額に、復興特別所得税額が加算されることになります。
税額控除(2)
復興特別所得税額が加算された後、第2弾の税額控除が行われます。
ここでは、サラリーマンが給与から天引きされる形で支払った「源泉徴収税額」や、前年に支払い済みの「予定納税額」について、支払われた金額がそのまま差し引かれます。平たく言うと、「払いすぎ」の部分を返還するための手続きです。
「納税額」の確定
以上の手続きを経て、ようやく最終的な「納税額」が確定します。これをもって、所得税の計算は完了です。
この段階で確定した「納税額」が、あらかじめ支払った金額よりも少ない場合は、「払いすぎ」の部分について還付を受けることができます。